火災や台風などで、建物に被害があった際に申請ができる火災保険。
実は、火災保険請求をして損害分の保険金をしっかりもらうためには、少しコツが必要です。
確認されるポイントをあらかじめ知っておけば、火災保険請求をスムーズに行うことができます。
この記事では、火災保険請求で損をしないための対応のポイントについて解説します。
火災保険をはじめて請求する方や、給付金をしっかり受け取りたい方はぜひご覧ください。
この記事でわかること
・火災保険請求のコツ
・被害箇所ごとの請求ポイント
・保険金がおりない場合の対処法
火災保険請求について
火災保険では、建物や家財を補償することができます。
火災保険の請求前に、まずは火災保険で申請が可能なケースを確認しておきましょう。
火災保険を請求できるケース
火災保険の補償範囲は広く、火災以外の以下の被害なども補償します。
- 落雷
- 破裂、爆発
- 水災
- 雪災
- ひょう
- 風災
- 物体の落下、飛来、衝突
- 水濡れ
- 盗難
火災保険請求ができる事例
- 落雷が原因でテレビが破損した
- 大雪で屋根が壊れた
- ひょうで窓ガラスが壊れた
- 台風で家の中が浸水した
- 誤って室内に穴を空けてしまった
- 空き巣に入られて家の中のものを盗まれた
一方で以下のケースは補償対象に含まれませんので、火災保険の申請はできません
- 経年劣化による被害
- 被害から3年以上が経過
- 地震や津波が原因
- 故意の損害や過失による被害
火災保険は被害から3年以上経過すると、申請ができない決まりになっています。
また、地震や津波による被害は火災保険ではなく、オプションで付ける地震保険の対象内になっていますので注意しましょう。
火災保険の請求前に、まずはご自身の契約内容を一度ご確認ください。
火災保険申請の手順
火災保険申請・請求は以下の手順で行います。
- 保険会社に事故の報告をする
- 書類に必要事項を記入し、保険会社に提出する
- 保険会社の審査
- 審査通過の連絡後、保険金を受け取る
保険会社に被害の報告後、事故状況説明書や保険金請求書などの提出書類をそろえて申請します。
火災保険請求のコツを知っておくべき理由
火災保険の申請自体は誰でもできるものです。しかし被害に見合う金額をしっかり請求できるかは、請求する人に委ねられています。
火災保険請求にコツが必要な理由には、次のことが挙げられます。
経年劣化と間違えられやすい
屋根や外壁などの建物への被害は、一見すると経年劣化と見分けがつかない場合もあります。
火災保険では経年劣化は補償の対象外です。
経年劣化ではないことがわかるような書類作成や説明は難しく、被害がはっきりと証明できずに火災保険請求が通らない場合もあります。
書類作成が難しい
火災保険を請求する際には、事故状況を記した「事故状況説明書」や「被害箇所写真」などの、被害を証明する書類を準備しなければなりません。
作成する書類は複数あり、専門用語も出てきますので、はじめて火災保険申請する人にとってはハードルが高く感じるかもしれません。
保険会社側は提出書類から審査を通すか否かを決定します。
プロの審査を通過できるような、ポイントをおさえた書類と写真を用意しないと申請は通りません。
損をしないための火災保険請求8つのコツ
被害箇所の補修ができる額の保険金をしっかりもらうために、火災保険の請求時に気をつけるとよいポイントをまとめました。
ポイントをおさえて申請することで、保険会社にも被害を正しく認定してもらえます。
被害を受けてからなるべく早く申請する
火災保険の請求は、被害を確認してからなるべく早い段階で行いましょう。
火災保険の請求期限は時効が3年以内と定められています。
時間がたつと被害箇所が劣化したりして、自然災害によるものか経年劣化なのかの見分けが難しくなり、被害原因の特定が困難になります
被害箇所が明確にわかるときに、すぐに申請の準備にとりかかりましょう。
被害の状況を明確に記録する
火災保険請求の際には、被害日時や事故の原因などを報告する必要があります。
被害の状況が曖昧だと、保険金の請求に影響が出ます。
いつどのような被害が発生したのか、事実をなるべく詳細に伝えましょう。
被害が発生したらすぐに、被害状況をメモして記録しておくのがおすすめです。
被害箇所の写真をしっかり撮影しておく
被害箇所を映した写真は、被害を証明する大きな材料になります。
被害箇所のみを映した写真だけではなく、さまざまな角度や距離から写真を撮っておきましょう。
たとえば屋根が破損した場合には、損害箇所のアップと屋根全体の写真、被害を受けていない部分の写真などを撮影します。
保険会社の人が、通常の様子と被害後の様子を比較できるように、写真を複数用意するのがコツです。
信頼できる修理業者に依頼する
修理業者の中には、安易に「保険金が下りるから」と声を掛け、高い修理料金を請求する業者もあります。
修理業者は常日頃から修理を依頼している信頼できる業者を選ぶのがおすすめです。
また、火災保険の審査では修理方法や施工が妥当かどうかも判断します。
火災保険を使った修理の実績がある業者に依頼すると、適切な施工やポイントをおさえた見積書の作成が期待できます。
必要書類を不備なく完成させる
火災保険請求では、以下の書類を用意する必要があります。
- 保険金請求書
- 事故状況説明書
- 修繕見積書
- 損害明細書
- 被害箇所写真
書類の完成度により、受け取れる保険金額も変わってきてしまいます。
被害を証明できる写真を複数添え、詳細な見積書と被害の説明書を提出できるようにしましょう。
保険会社の担当者と連絡を密にとる
保険金をしっかり受け取るためには、担当者に被害の状況が正確に伝わっていなければなりません。
連絡が迅速で、スムーズなやり取りができる担当者の場合には、やり取りが滞りなくできるため、保険金申請を素早く行うことができます。
鑑定人に気になる点は伝える
鑑定人が自宅に来て審査する際には、あらかじめ気になる点や破損箇所を伝えておきます。
何も言わないと、鑑定人が本来見てほしかった部分を見落としてしまう可能性も考えられます。
被害箇所をしっかりと主張しましょう。
火災保険の申請サポートを利用する
火災保険請求が初めての方や、しっかり保険金を受給したい方は、申請サポートを利用するのもひとつの手です。
申請サポートを利用すれば、書類の作成が専門家に任せられますし、プロの目線からアドバイスをもらうこともできます。
些細な被害も見落とさずに、給付金受給につながるようにサポートしてもらえますので、専門知識がなくても安心です。
被害箇所ごとの火災保険請求のコツ
火災保険請求の審査では、見積書の内容が細かくチェックされます。
保険会社に提出する見積書は、以下がそろっているものを用意しましょう。
- 損害箇所のみの修理になっている
- 詳細な見積もり(修理内容・数量や単価等の内訳・日程・人件費等)がわかる
- おおよその相場の範囲内の金額になっている
修理が全体か一部かによって、見積内容や費用は変わります。
ここからは、損害箇所別の被害と見積もり内訳の例をご紹介します。
火災保険を申請する前に、破損部分は細かく把握できているか、見積内容に漏れはないか、相場[K2] と大きくかけ離れていないかしっかりチェックしておきましょう。
屋根の破損
破損の例 | 見積もり項目 |
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・屋根材・屋根瓦の崩れ ・屋根材・屋根瓦の割れやズレ ・屋根アンテナの崩壊 ・棟板金の破損 ・釘やビスなどの留め具の浮き | ・撤去費・処分費用 ・原材料費 ・下地補修費用 ・防水シート設置費用 ・足場代 ・諸経費 |
部分修理 | 全体修理 |
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・5~30万円程度 (屋根瓦の交換・ズレや割れの補修など) | 塗装35~60万円程度 カバー工法80~120万円程度 葺き替え140~200万円程度 |
屋根の修理は部分的な補修か、全体的な補修かによって、費用や見積もりの内容が大きく変わります。
見積もりには修理前の調査費用や清掃費用等も含めることができますので、よく確認しましょう。
外壁被害
破損の例 | 見積もり項目 |
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・ひび割れ ・穴やへこみ ・コーキングの劣化 ・浮き・はがれ・膨れ ・傷 ・サビ | ・仮設足場設置費用 ・高圧洗浄費用 ・養生費用 ・下地処理費用 ・コーキング(シーリング)費用 ・下塗り、中塗り、上塗り、付帯部塗装費用 ・廃棄費用 |
部分修理 | 全体修理 |
---|---|
・ひび割れ補修 1~50万円程度 ・シーリング 5~50万円程度 ・サビ取り 8~35万円程度 | 60~250万円程度 |
外壁修理は修復する範囲や程度によって値段が変わります。
下地処理費用や下塗り費用・中塗り費用・上塗り費用など、工事費用を細かく出してくれる業者を選ぶようにしましょう。
軒天の被害
破損の例 | 見積もり項目 |
---|---|
・シミ ・はがれ ・穴 ・カビ | ・足場の設置・撤去費用 ・塗装費用 ・補修費用 ・張り替え費用 |
部分修理 | 全体修理 |
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1~5万円程度 | 10~30万円程度 |
軒天は屋根の修理と一緒に行う場合もあります。
修復方法には塗装・補修・張り替えなどがありますので、どの方法で見積もりがとられているか確認しましょう。
雨樋の変形、歪み
破損の例 | 見積もり項目 |
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・大雪や台風で雨樋が破損 ・雨樋のつなぎ目にひび ・金具が錆びた・折れた | ・足場代 ・撤去処分費用 ・材料費 ・軒樋・竪樋の設置費用 ・集水器の設置費用 |
部分修理 | 全体修理 |
---|---|
15~20万円程度 | 20~60万円程度 |
足場が不要な場所の修理であれば数千円~数万円程度で済みますが、足場を組むと費用は約10万円からと少し高額になります。
修理・交換するパーツが増えるにつれて見積もり金額も変わってきますので、内訳を確認するようにしましょう。
カーポートやフェンスなどの外構の破損
カーポート
破損の例 | 見積もり項目 |
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・カーポートの柱が折れた ・カーポートの屋根が飛んで行った | ・撤去・処理費用 ・原材料費 ・交換費用 |
部分修理 | 全体修理 |
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・パネル修理交換 1~5万円程度 ・アルミ枠設置 5~20万円程度 ・支柱修理交換 7~15万円程度 | 15~70万円程度 |
フェンス
破損の例 | 見積もり項目 |
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・物体の衝突によりフェンスが破損した ・雪の重みでフェンスの一部が歪んだ | ・取り壊し費用 ・処分費用 ・基礎工事費用 ・土台工事費用 ・材料費 |
全体修理 |
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木製 60~100万円程度 アルミ製 50~80万円程度 スチール製 40~60万円程度 |
カーポートやフェンスの場合には、一部のみの修復と全体修理とでは費用が大きく変わります。
特にフェンスの見積もりでは、基礎工事や土台工事費用も含まれているかよく目を通しましょう。
ベランダ、ウッドデッキの被害
ベランダ
破損の例 | 見積もり項目 |
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・雨漏り ・ひょうでベランダの一部が破損 | ・下地処理費用 ・下地補修費用 ・高圧洗浄費用 ・補修防水費用 ・撤去処分費用 |
部分修理 | 全体修理 |
---|---|
・ヒビ修理 3~15万円程度 ・雨漏り修理 5~20万円程度 ・手すり交換 10~20万円程度 | 30万円程度 |
ウッドデッキ
破損の例 | 見積もり項目 |
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・木版の破損 ・手すりの破損 ・浸水 | ・ウッドデッキ本体費 ・ウッドデッキ取り付け費用 ・基礎費用施工費用 ・撤去費用 |
部分修理 | 全体修理 |
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2~7万円程度 | 25~40万円程度 |
ベランダやウッドデッキなどの建物周りの被害も火災保険請求の対象になります。
一部の修復のみならば数万円からできることもあります。
工事用の仮設足場
- 仮設工事(足場の設置費)
- 人件費
- メッシュシート・防音シート費
損害箇所の修理費用以外にも、足場の設置費用が工事費用の内訳に含まれているかも確認しましょう。
屋根や外壁などの、高所での工事の場合には足場を設置します。足場の高さや面積によって費用が変動します。
火災保険請求後に保険金がおりない・少ない場合の対処のコツ
火災保険請求を行っても、希望通りの金額の保険金を受け取れるとは限りません。
思ったよりも給付金が少ない・保険金がおりない場合も考えられます。
請求の結果に納得がいかない場合には、次の対処をしましょう。
書類を再提出する
火災保険では被害を証明できる書類が何よりも大切です。
保険会社に保険金がおりない理由を確認し、書類の再申請をしてみましょう。
書類の書き方を変更し、証拠写真を増やすなどすれば、審査結果が変わる可能性もあります。
保険会社の担当者や鑑定人を変更する
保険会社の担当や審査に出向いた鑑定人によって、対応が異なる場合があります。
こちらの主張が聞き入れてもらえないなど、保険会社側の対応で納得できない部分がある場合には、担当者や鑑定人を変えてもらい再調査する方法もあります。
保険会社に設置されているお客様センターに相談し、指示を仰ぐとよいでしょう。
「そんぽADRセンター」に相談する
保険会社への交渉の結果に納得がいかない場合には、第三者機関である「そんぽADRセンター」に相談することもできます。
そんぽADRセンターは、損害保険の一般的な相談や、保険金の相談を無料で受け付けています。
保険会社とのトラブルの解決に向けて動いてくれる機関ですので、保険金請求の結果でどうしても折り合いがつかない場合には、問い合わせをしてみるとよいでしょう。
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この記事では、火災保険請求の方法やコツについて解説しました。
火災保険請求はできるだけ早い時期に、写真などの証拠をしっかりそろえて申請することが大切です。
一方で、「書類の作成や鑑定人とのやり取りなどを一人で行うのは不安」とお考えの方もいるでしょう。
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