火災保険は不測かつ突発的な事故による壁や床、窓ガラスの損傷を補償します。さらに、家具や家電の破損も火災保険の対象になることがあります。
実は、火災保険の破損汚損で補償される対象範囲は幅広く、さまざまな家財の損傷で給付金が支払われます。
そこで、破損汚損で補償される事例を紹介し、どのような被害が火災保険の対象になるのかを解説します。また、火災保険の破損汚損で補償されない事例についても合わせて紹介します。
火災保険は火災や自然災害だけでなく事故による破損汚損も補償される
火災保険の補償の対象は火災や自然災害だけではありません。火災保険に破損汚損の補償が含まれていれば、不測かつ突発的な事故による建物や家財の被害が補償されます。
火災保険の破損汚損とは
火災保険の破損汚損とは、日常で起こりうる事故により家屋や家財の破損、傷、汚れなどを補償します。保険会社によって呼び方が「破損汚損」だったり、「不測かつ突発的な事故」といったりと名称が違う場合がありますが補償の内容は同じです。
火災保険で補償される建物の破損汚損
火災保険は火災や自然災害と破損汚損による家屋への被害を補償します。
火災保険で破損汚損の対象になる建物の被害には以下のものがあります。
- 床面の傷
- 壁の穴
- ドアの損傷
- 内装の汚れ（子どもの落書きなど）
- 洗面台の破損
- 車の衝突による家屋の破損
- 水道の栓の閉め忘れによる部屋の水濡れ
火災保険で補償される家財の破損汚損
火災保険は家財についても破損汚損で補償される場合があります。
家財が補償されるのは次の場合です。
- 家具の破損
- 家電の破損
家電の破損では内部の機械的な不具合が原因で故障した場合は補償の対象外です。
火災保険で破損汚損が補償される場合
火災保険で破損汚損が適用されるには、建物か家財、または両方が補償の対象になっている必要があります。
火災保険で破損汚損が補償される特約の種類
被害が火災保険の破損汚損の対象であっても、加入しているプランによって補償されない場合もあります。火災保険の汚損破損の特約には建物のみが補償されるプランと家財のみが補償されるプラン、またはその両方が補償されるプランにわかれています。
火災保険で破損汚損が補償される事例と特約の組み合わせ
破損汚損の特約の種類で、補償される場合と補償されない場合の事例は以下の通りです。
| 被害の事例 | 建物のみ補償されるプラン | 家財のみ補償されるプラン | 建物・家財の両方が補償されるプラン |
| 子ども同士でじゃれあっていたことが原因でテレビの液晶画面が破損した | 補償されない | 補償される | 補償される |
| 家具を移動させるとき床に傷をつけてしまった | 補償される | 補償されない | 補償される |
| 掃除中によろめいて家具に衝突し破損してしまった | 補償されない | 補償される | 補償される |
| 子どもが壁に油性ペンで落書きをしてしまった | 補償される | 補償されない | 補償される |
| 屋外から飛んできたボールが窓ガラスに当たり破損した | 補償される | 補償されない | 補償される |
火災保険で補償される破損汚損の事例を紹介
火災保険の破損汚損の対象になる被害の代表的な事例を紹介します。
家屋や家財の損傷が以下にあげる事例に類似していれば、給付金を受けられる可能性があります。
家具の移動中に壁に穴をあけた
大きくて重たい家具を移動させるときに、誤って家具を壁や戸などにぶつけてしまい穴をあけてしまった場合は補償の対象です。
寝室を別の部屋に変更するため、クイーンサイズのベッドを移動させることになった。家族に手伝ってもらい運んでいる最中に誤ってベッドの角を壁に激突させてしまい穴をあけてしまった。
家電を不注意で破損した
家具や家電を不注意で破損したケースでも火災保険の対象です。
室内で軽いエクササイズをしているときに、誤ってテレビに肘をぶつけてしまった。その衝撃で液晶画面が破損しテレビが映らなくなった。
テーブルの上に置いていた一眼レフカメラをうっかり落下させてしまい壊してしまった。
自宅でパソコンを使用中に、本体にコーヒーをこぼしてしまい使用できなくなってしまった。
なお、火災保険の破損汚損では、パソコンの故障によるデータの紛失については補償されません。
子どもによる落書きや家屋の損傷
小さい子どもが遊んでいるうちに、建物や家財を傷つけた場合も補償の対象です。
3歳児がクロスに大きな落書きをしてしまった。油性ペンで書いたため、消すことができず、室内の景観が悪くなった。
6歳の子どもが友達と室内でふざけて遊んでいるうちに、窓ガラスを割ってしまった。子どもたちには幸いけがはなかったが、窓ガラスを新調する必要に迫られた。
水道の栓の閉め忘れによる水濡れ
不注意による水道の栓の閉め忘れで家屋や家財が濡れてしまった被害も火災保険で補償されます。
食器を洗うため流し台に水をためている最中に、近所の人が回覧板を届けるために訪問したので玄関に出て対応した。そのまま水道の栓をあけたままであることを忘れてしまい話し込んでしまった。流し台から水があふれ、じゅうたんを水びたしにしにしてしまい買い替えることになった。
水道設備の不具合で水道管が破裂し、部屋が水びたしになった。家具や家電も水に濡れてしまい使用ができない状態になってしまった。
鳥が窓ガラスに衝突して破損した
日常生活の中では、突発的にボールや鳥などが窓ガラスに衝突し破損させることがあります。火災保険の破損汚損では飛来物による被害も補償します。
キジバトが勢いよく窓に衝突し、ガラスが割れてしまった。そのため、早急に窓の修理が必要になった。
イタズラで外壁に落書きされた
誰かわからない他人から壁やシャッターにイタズラで落書きをされた場合も、現状を復旧するための修繕費が給付されます。
ガレージのシャッターに何者かによってスプレーで落書きをされてしまった。落書きを消すために専門の会社に依頼して費用が発生した。
車庫入れに失敗しガレージが損傷した
車庫入れに失敗しガレージや外壁を損傷した場合も火災保険の対象です。
車をバックで車庫に入れている最中に誤って、ガレージに激突し破損させてしまった。
この場合ガレージの損傷には火災保険の破損汚損で補償されますが、車の修理に関しては自動車保険の車両保険の適用を受けます。
火災保険の破損汚損が適用されないケース
不測かつ突発的に発生した事故による被害でも、破損汚損に適用されない場合があります。
火災保険の破損汚損が認められない損傷には以下のものがあります。
- 経年劣化による損傷の場合
- 敷地外へ持ち出して破損した場合
- メガネやスマートフォンなどの壊れやすいものの場合
- ペットによる被害
- 機能に支障がない場合
経年劣化による場合は補償されない
経年劣化による損傷は、火災保険では補償されません。経年劣化は全ての建物や家財に起こりうるものだからです。火災保険は火災や自然災害、不測かつ突発的な事故などの予測のつかない被害を被った場合に補償されます。
経年劣化で代表的な損傷には以下のものがあります。
- 外壁のひび割れ
- 塗装のはがれ、
- 金属部分のサビ
これらの損傷には、火災保険の破損汚損は適用されません。
敷地外へ持ち出して破損した場合は補償されない
家財を敷地の外に持ち出して使用していたときに壊してしまった場合は、破損汚損の補償は適用されません。
敷地外へ家財を持ち出した場合に補償されないケースには以下のものがあります。
- 旅先でカメラを落下させ壊してしまった
- カフェにノートパソコンを持ち出して使っていたときに飲み物をこぼして使用不能になった
- 買い物へ出かけた際、駐輪場に止めていた自転車が何者かによって破壊された
また、野外に持ち出したときに盗難にあった場合も、火災保険の補償は受けられません。
メガネとスマートフォンは補償されない
メガネやスマートフォンなどの壊れやすいものは火災保険では補償されません。
壊れやすいことが理由で、火災保険で破損汚損の対象外のものには以下のものがあります。
- メガネ
- スマートフォン
- コンタクトレンズ
- 補聴器
- 電球
- 蛍光灯
- ラジコン
- ドローン
スマートフォンは火災保険のプランによって特約で補償される場合があるので、適用が受けられるか知りたい場合は保険会社に問い合わせてください。
ペットによる被害は補償されない
ペットの犬や猫が床や柱、壁などを傷つけることがありますが、これらの被害は火災保険の対象外です。
ペットが家屋や家具に傷をつける場合には以下の内容があります。
- 壁や床をを爪で引っ掻く
- 柱や家具にかみついて傷をつける
- 糞尿で部屋を汚す
このようなペットによる損害に対しては、火災保険の請求はできません。
機能に支障がない場合は補償されない
建物や家財が損傷したとしても機能的に不具合が発生していない場合は、給付の認定を受けられません。
不測かつ突発的な事故によって破損しても、火災保険の対象外なのは以下のときです。
- テレビの枠に傷がついたが視聴には問題はない
- ノートパソコンに子どもが油性ペンで落書きをしたが使用に影響はない
- 外壁にすり傷ががついたが構造的な支障はない
傷や汚れがついても、そのままの状態で使用に耐えられる場合は給付金は請求できません。
破損汚損による被害の火災保険の申請手順と提出書類
不測かつ突発的な事故が原因で建物や家財に被害があったときは、火災保険の請求を行います。火災保険は被害にあっても、保険会社や行政から給付を申請するように促されることはありません。自分からすすんで火災保険の申請手続きをする必要があります。
ここでは個人で火災保険の給付金請求が行えるように、申請手順と提出種類について解説します。
火災保険の汚損破損の申請手順
被害が発生した場合は速やかに火災保険の請求を行ってください。火災保険の破損汚損の認定を受けるには、被害が不測かつ突発的な事故によって起こったことを証明しなければいけません。
それには、時間が経過してしまうと被害と原因の因果関係がわかりにくくなってしまい、認定を受けにくくなってしまいます。
被害が発生してできるだけ早く火災保険の申請を済ませるには、手順を理解する必要があります。
火災保険の申請は以下にあげる手順に従って行ってください。
| 順番 | 手続きの内容 | 詳細 |
| 1 | 保険会社へ連絡 | 保険会社の事故受付窓口に連絡 |
| 2 | 見積もりを依頼 | 修理にかかる費用の見積もりと明細 |
| 3 | 申請書の作成 | 必要書類が多い |
| 4 | 保険会社に申請書類の送付 | 記入もれや書類の不足があると受理されないので注意 |
| 5 | 鑑定人の現地調査 | 保険会社の選任した鑑定人が被害の状況を調査 |
| 6 | 保険金の入金 | 申請が承認されると保険金が支払われる |
火災保険の破損汚損の申請書類
火災保険の破損汚損の請求を行う場合は、以下の書類の作成が必要です。
| 書類の種類 | 詳細 |
| 保険金請求書 | 保険会社ごとに指定される専用用紙に記入 |
| 事故内容報告書 | 事故の発生日、被害状況の詳細を記入 |
| 修理見積書 | 見積金額と修理に必要な部材などの明細 |
| 破損状況の写真 | 破損の状況をわかりやすく撮影したもの |
提出書類には保険会社が指定する用紙に本人が記入するものや、修理会社に依頼して記入してもらう書類などさまざまです。書類に不備があると受理されず、再提出しなければなりません。
書類作成に手こずってしまうと給付金の受け取りが遅くなってしまい、迅速な修繕や現状復旧ができなくなってしまいます。
火災保険請求をする場合は、火災保険の専門家の力を借りるのも一つの手段です。
火災保険申請サポートを利用して手続きをスムーズに行う
火災保険の申請は多くの書類を作成し、被害の原因を証明しなければならないため、一般の人にはハードルの高いミッションです。また、個人と保険会社の間でやり取りをするので知識の面で会社側が圧倒的に有利です。保険会社はできるなけ保険料の給付金を抑えるために、契約者に不利な審査結果を出す場合があります。
それを防ぐためにも、火災保険申請のプロの力を借りることを検討してください。
建物と保険のプロである火災保険申請サポートは被害状況の調査や見積もり、書類作成のアドバイスをしてくれるので申請から給付金の受け取りまでスムーズに行えます。火災保険申請サポートは契約者にとってプラスになるような手助けをしてくれるサービスです。
破損汚損の申請は建物と火災保険の専門家の火災保険申請サポートに相談しよう
火災保険では破損汚損による家屋や家財の被害も補償します。破損汚損を受けるには、火災保険の契約内容にそれを補償する契約が含まれている必要があります。破損汚損は日常生活の中で起こりうる不測かつ突発的に起こった事故による被害が対象です。
- 模様替え中に壁に穴をあけてしまった
- 掃除中にテレビにぶつかって液晶画面を損傷させてしまった
- 小さい子どもがクロスに落書きをした
このような被害に遭って破損汚損の適用を受ける場合は、速やかに給付金の申請をしてください。給付が認定されるには被害の原因を証明しなければならず、時間が経過すると被害と原因の因果関係が証明できなくなり、保険会社から認定を受けられなくなっていまいます。また、火災保険の申請には多くの書類を作成し、決められた手順で行わなくてはならず、一般の人には難易度が高い作業です。
そこで、おすすめなのが建物と保険の専門家が、給付手続きを手助けしてくれる火災保険申請サポートです。火災保険申請サポートに依頼すると、手続きや書類作成がスムーズに行えます。
例えば、火災保険申請サポートのプロレバは、建造物にも高い専門性を有するスタッフが被害状況の把握や証拠の保全などを行ってくれます。プロレバは弁護士による法律の監修を受け、法令にのっとって適切な火災保険の申請をサポートをしています。
また、給付金受給に至らなかったときは報酬が発生しません。給付金が受け取れるか不安な方でも、気軽に相談していただけます。火災保険の申請が必要なときは、ぜひ一度相談してください。