建物が被災したときに火災保険に加入していれば、給付金で修理費用などを賄うことで自身の実質的な損害を抑えることができます。しかし中には、火災保険を申請したのにおりないケースもあるようです。
この記事では火災保険がおりないケースとしてしばしば見られる事例と、火災保険がおりなかった時の対処法を紹介します。
この記事でわかること
・補償対象外で火災保険がおりない理由
・補償対象内でも火災保険がおりない理由
・火災保険申請をスムーズに進めるために
火災保険がおりない理由①:補償範囲外のためおりないケース
火災保険の契約ではあらかじめ補償する範囲が定められています。
この補償範囲に入っていなければ、損害を受けていても補償はされず、給付金はおりません。
事前に契約書をよく読み、自分が加入する保険の補償範囲を理解しておきましょう。
経年劣化
火災保険は一定の災害などによる損害を補償するものなので、経年劣化によって生じた破損に対しては給付金はおりません。
例えば、直接の原因が風災による損害である場合も、建物の老朽化度合いによって給付金額が変わるケースもあります。
該当する自然災害の補償に入っていない場合
噴火や津波などは多くの火災保険が補償対象外となっています。また、地震も通常は別の地震保険が補償します。
そのほかの災害は契約内容によりますが、保険契約書で補償範囲としていない災害については、火災保険の給付金はおりません。
火災以外でも給付金がおりる保険もある
そもそも火災以外の災害による被害は補償されないのでは?と考える方も少なくありませんが、多くの保険では津波以外の水災、風災・雹災・雪災・落雷などによる損害も補償範囲内としています。
今一度、自分が加入している保険契約を確認して、どのような災害まで補償されるのか、事前に理解しておきましょう。
施工不良が原因の損害
建築時点で施工不良があることが判明した場合には、その部分は給付金はおりません。
ただしこの場合は、ハウスメーカー側の過失なので、メーカーが損失を補填したり、無償修理に対応してくれる可能性があります。
保険会社だけでなく、ハウスメーカーにも問い合わせてみるのがよいでしょう。
火災保険がおりない理由②:補償範囲内でもおりないケース
契約書上の補償範囲であっても、利用者に問題があったり、被害額が免責金額に満たなかったりした場合などには、給付金がおりないケースがあります。
同じ損害個所で給付を受けたことがあり、かつ修理を行わなかった場合
過去に同じ箇所で給付金を受けている場合は、その給付金で最低限の修理をおこなっていなければ、給付金がおりません。
給付金の使い道は基本的に制限がありませんが、給付金がおりる原因となった損害箇所は、必ず修理しておくことをおすすめします。
故意もしくは重大な過失によるもの
利用者の故意もしくは、避けなければ重大な結果を及ぼすことが明らかな過失などによる損害では給付金はおりません。
重大な過失として補償がおりなかった事例としては、例えば以下のようなものがあります。
- 電気ストーブをつけたまま眠った
- 布団の上で寝タバコをしていたら火事になった
- ガスコンロの火をつけたまま放置した
どこまでが重大な過失かは、明確な基準を設けるのが困難なため、しばしば保険会社との係争の原因に。
いずれにしても、過失と疑われるような行動は取らないように、日頃から注意しましょう。
原因発生後3年が経過したもの
損害による保険請求は3年が時効となっています。3年以上経つと、損害箇所の原因が分かりづらくなる恐れがあるためです。
給付金を申請してから受け取るまでには一定の時間もかかるため、基本的には損害を受けたら速やかに保険申請の準備を始めることをおすすめします。
損害額が免責金額に満たない場合
小さな被害に対して一つ一つ給付金がおりる事態になるのを避けるために、保険には免責金額が設けられています。
免責金額を上回る被害額であると認められなければ、給付金はおりません。
なお、給付金について、免責金額を少しでも上回れば被害額全額が支給されるフランチャイズ方式と、被害額と免責金額の差額が受け取れる免責方式があります。
火災保険がおりない場合の対処法
万が一火災保険の給付金がおりなかったときには、次に紹介する行動を取る必要があります。
もしそのまま放置していると、保険会社の決定を支持することとなり、給付金は受け取れないままになってしまいます。
再審査の依頼をする
保険会社の決定に不服の場合、利用者は再審査を依頼しなければならないことになっています。
決定内容に納得がいかない時には速やかに再審査の準備をしましょう。
ただし、そのまま再審査を依頼しても、決定が覆ることはなかなか期待できません。
損害が実際に発生していることや、それが補償範囲に含まれる原因であること、そして被害が免責金額を確実に上回る規模であることを、しっかりと情報整理して、論理的に保険会社に提示することが大切です。
損保ADRセンターに相談する
保険会社と利用者の間に入ってトラブルを解決してくれるのが、日本損害保険協会の損保ADRセンターです。
無料で相談可能なので、どうしても不服な決定が覆らない場合には相談してみましょう。
ただし損保ADRセンターも互いが提示する資料や根拠に基づいて判断することしかできないため、再審査依頼と同様に、きちんと状況について調べて、情報を整理して提示する必要があります。
また、損保ADRセンターを通すと、対応に最大4ヶ月程度かかるので、長期戦を覚悟して臨みましょう。
給付金申請をスムーズに進めるためのポイント
一度給付金がおりないという判断が下されてしまうと、それを覆すのには大きな労力がかかります。
スムーズに給付金を受け取るためには、次のような点に留意して、保険会社との認識相違を避けることが大切です。
保険の約款は事前に確認し、補償範囲を理解しておく
まず、保険の契約内容の正確な把握が第一。そもそもの契約前には約款にしっかりと目を通し、補償範囲を覚えておく必要があります。
また、給付金申請の際にも、今一度見直して、確かに補償範囲に含まれる損害であることを確かめてから、給付金の申請に入るのがよいでしょう。
補償範囲の損害発生時は速やかに給付金を受ける
給付金の申請には3年という時効がありますが、この時効を待たずとも、徐々に損害の痕跡を正確に確認しづらくなり、被害状況に関する利用者と保険会社との認識のずれを生むリスクが高くなっていきます。給付金がおりない可能性も高くなります。
損害が発生して、それが保険で補償される原因によるものが確認できたら、速やかに給付金の申請を進めることが大切です。
損害箇所の修理・修繕は行う
給付金で、損害の原因となった箇所を適切に修理しなければ、以後同じ場所が損害を受けても、その原因が補償対象であるか否かに関わらず、給付金がおりなくなってしまいます。
給付金を受け取ったら、損害は十分に修理・修繕しましょう。
火災保険申請サポートを利用する
建物の損害の原因や規模を正確に把握して、申請書にまとめるには専門的な知見がなければ困難です。
給付金支給までに不必要に時間がかかったり、期待していた給付金額が降りなくなる事態を避けるために、給付金申請時には火災保険申請サポートを利用するのがおすすめ。
プロの目から被害状況を的確に確認し、適正額の給付金を受け取れる可能性が高まるでしょう。
火災保険がおりない理由をあらかじめ理解しておこう
火災保険がおりない場合、補償範囲外である、故意や重過失によるものであるなど、何らかの原因があるケースが多いです。あらかじめ、保険がおりない原因を把握しておきましょう。
一度給付金がおりないという決定がなされると、決定を覆すためには多大な労力がかかります。初めから給付金申請サポートを利用して、プロの目から損害状況を診断してもらい、スムーズに申請を進めるのがよいでしょう。
火災保険申請サポートはプロレバ
火災保険調査人が調査を行うプロレバなら、被害状況に応じた適切な給付金申請をサポート。全国対応・最短即日対応でスムーズに給付金の申請を進めることができます。