台風で家が壊れたのに火災保険がおりないのはなぜ?補償されない理由5つと対処のしかたを解説

火災保険は火災だけでなく、台風などの自然災害も補償してくれます。台風の強風で屋根が損傷し雨漏りが発生したときは、火災保険の請求が可能です。

しかし、台風で家が壊れても火災保険がおりないことがあります。どんな場合だと火災保険はおりないのでしょうか。

台風の被害なのに火災保険が適応されない理由と、その対処方法について解説します。

目次

台風による家の損傷は火災保険で補償される

台風 火災保険 おりない

火災保険は台風で家屋が破損したときの修理費用を補償してくれます。台風は強風や豪雨、落雷によって被害をもたらします。

火災保険の中でも、台風被害から家を守ってくれる補償は以下の3つです。

  • 風災補償
  • 落雷補償
  • 水災補償

風災補償

風災補償は強風で家屋や庭、ガレージが被害にあったときに給付金が受けられる保険です。風災の請求件数は、火災保険の中でもっとも多い割合を占めています。風災補償が適応される条件は、瞬間最大風速が20m以上の強風で被害が発生したときです。瞬間最大風速20mは、台風の暴風域に入っていなくても発生する可能性があります。

強風で屋根が破損したり、飛来物が衝突して窓ガラスが割れたり、植木が倒壊したりした場合は風災で補償されます。

落雷補償

台風は雷を発生させる積乱雲の集まりです。台風は落雷による被害をもたらします。雷は台風の中心よりも外側で発生し、台風の中心気圧気圧が高いほど活発化します。特に雷の被害が起こりやすいのは台風の北西側です。

落雷補償は屋根に落ちて穴を開けたり、異常電圧により家電を損傷したり、周辺の建物に落ちてそれが倒壊して家を破損したりした場合が対象です。落雷による家屋の損傷は、身近であまり起きていないイメージがあるかもしれませんが、火災保険の請求の約10%を占めています。

水災補償

水災補償は台風の影響で洪水や高潮が発生し、家屋が浸水被害にあったときに受けられます。浸水による家屋の破損や汚損、家財の損傷を補償します。

水災補償が適用される条件は、床上浸水か床下浸水で地上から45cmまで浸水した場合です。また、浸水による被害が、再調達価額の30%以上と認定を受けたときも補償されます。

さらに、台風がもたらした豪雨で土砂崩れが発生し被害にあった場合も、火災保険の水災補償の対象です。

水災補償は任意で火災保険に付帯できます。水害の多い地域や土砂崩れの危険性のある場所に家がある人は、水災が補償されるプランに加入することをおすすめします。

台風の被害で火災保険がおりない理由5つ

屋根 経年劣化 火災保険 おりない

台風の影響による家屋の損傷であっても、火災保険がおりない場合があります。

台風の被害なのに、火災保険がおりない理由について5つ紹介します。

  1. 破損の原因が台風であることを証明できない
  2. 火災保険の契約に含まれていない
  3. 建築時の施工不良
  4. 被災してから3年以上経過
  5. 被害額が免責額を下回っている

1.破損の原因が台風であることを証明できない

火災保険は経年劣化による損傷は補償の対象外です。火災保険は予測のつかない災害や突発的な事故による被害を補償するものなので、経年劣化のような全ての建物に起こりうる予測可能な損傷は補償されません。

火災保険の給付を受けるには、破損の原因が台風であることを保険会社に認めてもらう必要があります。しかし、台風による強風で屋根が損傷したのに、保険会社から損傷は経年劣化によるものと判断され、申請が却下されることがあります。台風による損傷と経年劣化は見分けがつきにくく、経年劣化でないことを証明するのは難しいです。特に被災から時間が経過してしまうと証明はかなり困難です。被災直後の申請の場合は被害が台風によるものであることを証明しやすいですが、時間がたつほど難易度は上がります。

台風の被害で火災保険の申請をする場合は、なるべく早い対応をおすすめします。

また、勢力の強い台風が上陸し大規模な被害が発生した直後は、保険会社に給付金請求が集中して込み合うため、対応が遅れる場合があるので注意してください。

2.火災保険の契約に含まれていない

火災保険の契約に対象の被害が含まれていない場合は補償されません。特に水災補償は火災保険のプランによっては含まれていない場合があります。台風の豪雨で家が浸水し被害にあっても、水災補償に加入していなければ給付金は受け取れません。

火災保険に水災補償が含まれているかを調べるには保険証券で確認してください。また、保険会社のサイト上にある契約内容の照会で、調べることも可能です。

水災は被害を受けやすい地域が存在します。もし自分の家が浸水や土砂崩れによる被害を受けやすい地域にある場合は、水災補償のあるプランに加入する必要があります。また、過去数十年にわたって水害が発生していない地域やハザードマップで浸水想定区域に指定されていない場所であっても、浸水被害に遭う可能性はあるので、火災保険の加入時に水災補償が必要かをよく検討しましょう。

3.建築時の施工不良

家屋の損傷理由が台風ではなく、建築時からの施工不良の場合は火災保険の適用外です。建築時の施工不良は施工会社に責任があります。

新築から10年以内に発生した住宅の不良は、住宅品質確保法により施工業者に瑕疵担保責任を問えます。瑕疵担保責任は契約不適合責任ともいわれ、通常備えるべき品質や性能を有していない場合は、賠償請求などを行うことが可能です。

住宅品質確保法では以下の内容に施工不良が存在する場合に、引き渡しから10年間の瑕疵担保責任を施工会社が追うことを義務付けています。

住宅の基礎基礎ぐい小屋組
土台筋かい方づえ
火打材床版横架材屋根版
屋根排水管

施工会社に損害賠償請求をする場合、以下の手順で行います。

  1. 施工会社と不良箇所の是正方法、もしくは損賠賠償請求の話し合い
  2. 裁判所で調停委員による民事調停
  3. 建築工事紛争審査会に申し立て
  4. 訴訟

施工不良による建物の損傷は火災保険では補償されませんが、新築10年以内の場合は施工会社に瑕疵担保責任があるので、販売した会社や施工会社に問い合わせてください。

4.被災してから3年以上経過

火災保険の給付金申請の期限は、保険法第95条で被害にあってから3年以内と定められています。

保険法第95条(消滅時効)

保険給付を請求する権利は行使することができるときから3年間行使しないときは、時効によって消滅する

また、民法では第166条で、民法上の請求権が消滅するのは権利を行使することができることを知ったときから5年以内、または権利を行使することができるときから10年間行使しないときと決められています。

改正民法第166条

債券は次にあげる場合には、時効によって消滅する

債権者が権利を行使することができることを知ったときから5年間行使しないとき

権利を行使することができるときから10年間行使しないとき

しかし、火災保険の請求では民法よりも保険法が優先されます。

よって請求権の時効は3年です。

被害にあったらなるべく早く請求することをおすすめします。

もし、台風の被害にあって火災保険の請求をしないまましばらく時間がたっていたとしても、被災から3年以内で、損傷が台風が原因であることを証明できれば給付金を受けとれます

すでに自費で損傷箇所を修理したあとでも申請は可能です。

ただし、被災から時間がたてばたつほど被害原因の証明が難しくなります。

5.被害額が免責額を下回っている

台風の被害であることが保険会社に認定され審査が通った場合でも、免責額を給付金額を上回っていないときは火災保険は支払われません。免責額とは自己負担金のことで、被害が発生したときに契約者が負担する金額です。

免責タイプには2種類あり、契約時に設定された金額を超えた分だけ給付金が受け取れるエクセス型と、損害額が20万円を超えた場合に全額支払われるフランチャイズ型があります。

エクセス型フランチャイズ型
あらかじめ決められた免責金額を超えた分の給付金が支払われる損害額が20万円以上の場合、全額支払われる

免責額は火災保険の種類ごとに設定の変更が可能です。免責額を高く設定するほど、保険料は安く済みます。台風が多い地域では風災補償や水災補償の免責額を下げて設定するとよいでしょう。免責額をいくらに設定するかをよく考えて、最適な保険にカスタマイズしてください。

台風の被害で火災保険がおりなかったときの対処法

火災保険 おりない 対処方法

台風の被害で火災保険の請求ををしたのに、給付金がおりなかった場合でも諦めないでください。

以下にあげる方法をトライすることによって、再度申請したときに審査が通ることがあります。

  • 損保ADRセンターに問い合わせる
  • 火災保険会社の担当者を変えてもらう
  • 気象データなどの科学的根拠を提示する
  • 火災保険申請サポートなどの専門家に相談して審査をやり直す

そんぽADRセンターに問い合わせる

そんぽADRセンターとは、火災保険会社と契約者間のトラブルを解決する機関です。保険会社の対応に不満がある場合、専門の相談員が相談や苦情を聞いてくれます。

そんぽADRの相談やトラブルの解決にかかる費用は無料です。ただし、そんぽADRに電話するときの通話料や書類の郵送代などは実費です。

損保ADRセンターの問い合わせ先

0570-022808(ナビダイヤル全国共通・通話料有料)

受付:月〜金(祝日・休日・12月30日〜1月4日を除く)9:00〜17:00まで

※ナビダイヤルは各電話会社の通話料割引サービスや無料通話プランは適用されません。

そんぽADRは東京都千代田区と大阪府大阪市の2箇所に事務所を設置しています。中立・公正な立場をとっているので、保険会社の肩を持つような対応はしません。

そんぽADRの業務内容は以下の通りです。

  • 相談対応
  • 苦情対応
  • 紛争対応

相談対応

専門の相談員が火災保険や保険会社に対する疑問点などに答えます。

台風による被害の申請がなぜ審査に通らなかったのかや、今後の対応について相談できます。

苦情対応

保険会社と契約者の間で発生したトラブルや苦情を受け付けます。そんぽADRに伝えた内容は苦情として該当する保険会社に通知されます。そんぽADRが契約者と保険会社の間に入るので、円満に問題の解決がはかれます。

保険会社が台風の被害を認めなかった理由に納得が行かない場合は、苦情としてそんぽADRに伝えてみるのも一つの手段です。

紛争対応

契約者と保険会社の間のトラブルが解決しないときは、そんぽADRに紛争解決手続きの申し立てができます。紛争解決手続きでは弁護士などによる紛争解決委員が、和解案の提示を行い紛争の解決を中立的な立場で行います。

そんぽADRに話をすることによって保険会社の判断が変更されることもあるので、審査が通らなかった理由に疑問や不満がある場合は利用を検討してください。

火災保険の担当者を変えてもらう

火災保険申請が通らなかったときは、担当者を変えてもらうことで、異なる審査結果がでることがあります。給付金審査の担当者との相性は、認定に影響する場合があります。

もし、担当者との相性が悪いと感じたときは、変更を願い出ましょう。変更依頼は各保険会社に設置されているお客様相談窓口に申し出ると効果的です。

気象データなどの科学的根拠を提示する

被災してから時間がたってしまい、台風による被害であることが認められなかった場合は、気象データなどの科学的根拠をそろえてもう一度申請してみましょう。

火災保険の風災補償は瞬間最大風速が20m以上のときに認められるため、気象庁データで裏付けをとってから申請すると認定される確率が上がります

自分の住む地域の過去の風速を知ることのできるツールは、気象庁の過去の気象データです。

気象庁の過去の気象データで時間ごとの最大風速を調べる場合は、以下の手順で行います。

  1. 気象庁のホームページを開く
  2. 各種データ・資料を開く
  3. 過去の気象データ検索を開く
  4. 都道府県を選択する
  5. 地点を選択する
  6. 年月日を選択する
  7. 1時間ごとの値を表示を選択する
台風 火災保険 おりない 過去の気象データ
出典:気象庁

気象庁の過去の気象データで記されている風速は、10分間平均で表される最大風速です。瞬間最大風速とは3秒間の平均風速のことで、最大風速の1.5〜3倍になることがあります。

火災保険申請サポートに相談して審査をやり直す

台風の被害が保険会社に認定されない理由の一つに、提出した写真に被害箇所の状況がしっかり写っていないことがあげられます。この場合は再度写真を撮り直して再申請すると認定を受けられる可能性があります。

写真を撮りなおす場合は、できれば、火災保険申請サポートなどの火災保険と建物の両方を熟知している専門家に撮影してもらいましょう。火災保険申請サポートの担当者は、火災保険が認定されやすい画角についてよく理解しています。被害箇所の撮影はプロに任せるのが得策です。

また、提出書類の書き方にも申請を通すためのコツがあるので、専門家のアドバイスを聞いて作成してください。一度、給付の審査が落ちた場合でも、プロのサポートを受けて申請し直すと認定される場合があります。

火災保険申請サポートのほとんどは成果報酬型なので、もし、再び審査に通らなかったときは費用は発生しません

火災保険から台風で損傷した修繕費を補償してもらうために、火災保険申請サポートの利用を検討してください。

台風の被害が保険会社に認定されない場合は火災保険申請サポートに相談しよう

台風の被害なのに火災保険を申請しても、給付金がおりない場合があります。

  • 被害原因の証明ができない
  • 補償されるプランに入っていない
  • 損傷の原因が施工業者によるもの
  • 申請期限を過ぎている
  • 免責額が被害額を超えていない

しかし、火災保険の認定が受けられなかった理由が、被害原因が証明できないという場合はまだ諦めないでください。

その場合の対処にはいくつかの方法が存在します。

  • そんぽADRに問い合わせる
  • 保険会社の担当者を変えてもらう
  • 気象データなどの科学的根拠を提示する
  • 火災保険申請サポートの力を借りて再申請する

この中でもっともおすすめなのは、火災保険申請サポートの力を借りて再申請する方法です。

火災保険申請サポートは建物と保険のプロなので、審査に落ちた案件でも新たな写真の撮りなおしや書類作成の適正なアドバイスにより、認定が受けられる可能性を引き上げます。

また、火災保険申請サポートは成果報酬型なので、給付金が受けられない場合は費用がかかりません。火災保険申請サポートなら、費用面のリスクなしで再申請にチャレンジできます。

例えば、火災保険申請サポートのプロレバは、建造物にも高い専門性を有するスタッフが被害状況の把握や証拠の保全などを行ってくれます。万が一給付金受給に至らなかったときは報酬が発生しません。

給付金が受け取れるか不安な方でも、気軽に相談していただけます。火災保険の申請が必要なときは、ぜひ一度相談してください。

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