この記事でわかること
・火災保険は基本的には複数回申請できるということ
・火災保険を複数回使っても保険料は上がらないということ
・火災保険が申請できないケース、保険が終了になるケースがあること
火災保険は、火災だけではなく、台風・落雷や爆発による被害の他、契約内容によっては雪や風、水による災害も補償されることから、補償範囲は意外と広くなっています。
そして、火災保険は原則として複数回利用することはできますし、それによって保険料が上がることはありません。
しかし火災保険に対する正確な知識がないために、被害があっても請求をためらうケースもあるようです。
そこで、今回は火災保険を申請する際の要件や注意すべきポイントなどについて解説します。
火災保険の申請について迷われているのであれば、ぜひ参考にしてください。
火災保険は一度使ってもまた申請できるの?
「些細な被害で給付金を受け取ることで、大きな被害が発生した時に受け取れなくなるのではないか?」
「給付金を請求することで、次回の更新料が高くなるのではないか?」
「火災保険の申請には上限があるのではないか?」
と心配して、なかなか火災保険の申請に踏み切れないでいる人もいるのではないでしょうか?
実際、私たち元にもこのようなご質問が数多く寄せられます。
ここでは、そんな不安についてお答えします。
火災保険の申請回数に制限はない!
実は火災保険の申請は何回でもできますし、補償の対象と認められれば給付金は何回でも受け取れます。
火災保険は、いざという時の偶発的な損害を補償するためのものだからです。
ただし、不正な請求や一定の場合に火災保険の契約自体が消滅する場合には、この限りではありません。
これらの火災保険が利用できなくなるケースについては、次章で詳しく説明しますので参考にしてください。
火災保険を複数回利用しても保険料は上がらない!
火災保険の給付金を受け取っても次回からの更新料が上がるという心配はありません。
火災保険の保険料の設定は、損害の起こる可能性(予定損害率)などを基に行われます。
そして個々の保険料は、建物の構造や所在地、面積などによって決まる仕組みとなっているからです。
火災保険を利用すると保険料が上がるのではないかと心配している人は、任意の自動車保険の仕組みと混同しているケースが多いのではないでしょうか?
火災保険料は利用者全体で計算されます
自動車保険では過去の事故の実績によって等級が決められ、等級に応じて保険料が変わってきます。
等級は1級から20級まで分かれていますが、対人・対物事故により保険を使うと3等級ダウンするため、保険料の更新の際に保険料が上がる可能性があるのです。
しかし、火災保険料の設定の基となる「予定損害率」は、個々の事故発生の可能性ではなく、保険利用者全体における損害の発生可能性を考慮していますので、個人の火災保険の利用回数と保険料との関連性はありません。
火災保険が一度目でも申請できないケース
火災保険は原則として契約期間中は何回でも申請が可能です。
先程も説明しましたように、いざという時の偶発的な損害を補償するためのものだからです。
しかし、火災保険の給付金が下りるのは契約で認められている範囲に限られます。給付金を不正に取得する目的などで虚偽の申請を行う場合などには、当然給付金は支給されません。
このように火災保険の申請にはいくつかの条件があります。
申請ができないケースについては、以下のものがあります。
・故意・重大な過失があるケース
・法令違反にあたるケース
・被害から3年経過しているケース
・地震、噴火、津波のケース
・被害が免責金額以下のケース
・経年劣化が原因のケース
・単なる外観上の損傷など、機能の低下を伴わない損害
故意・重大な過失があると認定されると火災保険は下りません。
被害から3年を経過すると給付金はもらえなくなります
注意してください!
また、給付金を不正に取得する目的で虚偽の申告を行うなど、法令違反にあたるケースでは、給付金の支給は当然認められません。
そして、被害から3年経過すると、火災保険の請求権は時効によって消滅します。
地震、噴火、津波による被害は、火災保険の補償の対象ではありませんので、別途地震保険の契約が必要とされています。
経年劣化の被害でも給付金はもらえません
火災保険は突発的な事故による被害を想定しているので、経年劣化など時の経過によって当然生じる故障は補償されません。
経年劣化による被害か自然災害による被害かは一見素人の方からすると判別のしずらい被害が多くあります。
上記で挙げたリスクも考えると、申請はむやみに行わず、住宅関連にも精通していて実績のある申請サポート業者に相談をし、調査してもらうのが良いでしょう。
同様に、本来使用する方法によって生じると考えられる程度の「すり傷、かき傷、塗料の剥がれ落ち」など単なる外観上の損傷などで、機能が喪失したり低下したりしない程度の損害も補償の対象とはされません。
「経年劣化」を自然災害と間違えて申請すると大変なことになる!?
火災保険の契約が終了するケース
給付金を不正に受給する目的で契約を結んだ場合には、火災保険契約は無効とされ、最初から契約はなかったものとみなされます。
また、契約にあたって申込者に詐欺や脅迫などの行為があった場合には、火災保険契約は保険会社が取り消すことができるとされています。
これらの場合には、すでに支払った保険料は返還されません。
悪徳業者の不正受給に巻き込まれると取り返しのつかないことになるかも!?
火災保険の対象がなくなった場合には契約が終了します
さらに火災保険の対象となる建物などが、火災保険契約の補償内容とは異なる原因で滅失した場合や、譲渡されて所有者が変わった場合にも契約は終了します。
この場合には、補償の対象となる建物などが存在しなくなるからです。
同様の理由から、
- 1回当たりの保険金の支払額が、契約で決められた保険金額の8割に達する場合
- 延床面積の8割が焼失した場合
には、建物が「全損」扱いとされるため、火災保険契約の対象となる家がなくなったことになるので契約自体が終了します。
火災保険契約が終了すると、火災保険に付随して契約していた地震保険や個人賠償責任特約も終了することになります。
火災保険の申請が2回目となるケース
上記に当てはまらなければ原則としては火災保険の申請が可能であり、火災保険の補償範囲と判断されれば給付金が下りることになります。
給付金は損害にあった箇所の補修のために使われるのが本来の目的ですが、振り込まれた給付金の使い道が保険会社によって決められているわけではありません。
ですから火災保険金を修繕に利用しないことも可能ではあります。
しかし、一度火災保険の給付金を受け取った後に、以下のような問題が発生するケースもあることを考慮に入れて、適切に給付金の使い道を判断することをおすすめします。
一度火災保険の申請が通り給付金を受け取った箇所に、再び損害が生じた場合
一度火災保険の申請が通って給付金を受け取った箇所に、再び損害が生じることもあります。
- 前回の修繕が十分でなかったか
- たまたま同じ場所に損害が発生したのか
このような場合にも、再度火災保険の申請は認められるのでしょうか?
前回受け取った給付金で補修したにも関わらずこのような事態が生じた場合には、修繕した際の写真や見積書・領収書などを保管して置き、前回の給付金できちんと修繕したことを証明できれば、再度の申請も認められる可能性が高くなります。
「保管していた書類が手元にないから証明できない。」と心配されている方は、保険会社に前回申請した際の書類や、修繕の施工業者が施工前後の写真を保管しているはずですので焦らず一度聞いてみましょう。
しかし、前回受け取った給付金で修繕していないまま、再度損害が発生したというのであれば、給付金の支払いは難しいでしょう。
過去に火災保険金を受け取った箇所と別の箇所に損害が生じた場合
「過去に火災保険を申請した箇所と別の箇所に」損害が生じて保険の申請をするのは、起こり得る可能性のあるケースです。
例えば「一度目は外壁のヒビによる申請をしたが、今回新たに強風による屋根の被害が見つかった」などのように、一度目と二度目で別々の箇所による被害の場合は、もちろん申請することができます。
この場合には、契約している火災保険の補償内容に該当する損害が生じていることを証明して、給付金の受け取りを申請しましょう。
火災保険金は最大どれくらい受け取れるの?
火災保険による給付金は最大でどれくらい受け取れるのでしょうか?
火災保険は予期せぬ損害から受ける被害を補償するためのものですので、被害を受けた金額以上の給付金を受け取ることは認められていません。
それでは、以下のケースではどうなるのでしょうか?
火災保険を2社にかけていた場合
複数の保険会社と契約すること自体は自由ですので、火災保険を2社にかけることも可能です。
ただし受け取れる給付金の額は、2社合わせて実際に被害を受けた損害額までとなります。
新たな火災保険契約を結ぶ時には告知義務がありますので、複数の火災保険に加入する場合には、保険会社に対して告知しなくてはなりません。
もしこの時に告知義務に違反すれば契約解除事由となりますので、必要な時に必要な補償が受けられなくなる可能性があります。
実際の損害以上の金額の火災保険をかけていた場合
火災保険の受取額は被害を受けた損害額が限度となっていますので、実際の損害以上の金額の火災保険をかけていたとしても、損害額を超えた分は受け取ることができません。
保険金額と保険価格とは?
火災保険の受取金額を考える際には、「保険金額」という言葉と「保険価格」という言葉の意味を理解する必要があります。
保険金額とは、火災保険を契約する際に、給付金として支払われる最大限度の金額として設定した金額を意味します。
保険価格とは、被害の発生によって生じる可能性のある損害の最大限度額を意味します。
要するに、
- 保険金額とは支払われる可能性のある最大金額。
- 保険価格とは、予想される最大の被害額。
保険金額>保険価格となることは、認められていないのです。
このような契約を超過保険と言いますが、超過保険となっていた場合には、保険価格(=実損)の限度で保険金の支払いがなされます。
火災保険の契約者が重大な過失なく、超過保険となっていることに気づかないで契約していた際には、超過部分について取消しすることができ、超過部分の保険料が返還されます。
保険金額が損害額を下回る場合
一方で、
保険金額<保険価格となる契約を結ぶことは問題ありません。
この場合には、
- 保険金額100万円
- 保険価格150万円
と仮定すると
100万円の被害が発生した時に、100万円の給付金が受け取れる訳ではありません。
100万円の給付金が受け取れるのは、150万円の被害が発生した時となります。
最大限の被害額150万円に対して、発生した被害は100万円ですので、
100万円×100/150≒67万円
となり、約67万円の給付金が受け取れる計算となります。
火災保険の申請の際に注意すべきポイント
火災保険の契約にあたっては、建物や家財など火災保険の対象となる資産の価値をできるだけ正確に評価して「保険価額」を見積もり、適正な「保険金額」を設定することが大切です。
そして、保険を申請する時には、自分の加入している火災保険の契約内容を見直してみることをおすすめします。
火災保険の補償の対象となるのは、以下の3つの組み合わせがあります。
- 建物と家財
- 建物のみ
- 家財のみ
従来型の保険の場合には、補償の範囲は火災、落雷などによる損害の他、風災や雹(ひょう)災、雪災なども含まれるのが一般的です。
しかし、新型の保険であれば補償内容は自由に選択できるものが増えています。
補償の対象がどこまでで、補償される災害の範囲はどこまでなのかは、火災保険の契約書で確認できます。
また、重大な過失があると給付金は下りないと説明しましたが、通常の過失は火災保険の補償の対象です。
重大な過失とは、ほとんど故意に近いような著しい注意義務違反のことを意味していますが、判断が難しいので弁護士などの専門家に相談してみるとよいでしょう。
裁判例などからアドバイスを貰えるはずです。
火災保険は使用の回数に関わらず申請が可能です!
- 火災保険を複数利用することは問題ないということ
- それによって保険料が上がることはないということ
- 火災保険が申請できないケース
- 火災保険が終了になるケース
- 火災保険の申請が2回目のケース
- 火災保険金がどれくらい受け取れるのか
- 火災保険の申請の際に注意すべきポイント
について、解説してきました。
火災保険は予測不可能で突発的な事故や災害から、大切な建物や家財などの財産を守るための保険です。
これらの損害が発生した場合には、ためらわずに保険の申請をすることをおすすめします。
【まとめ】火災保険の給付金申請はプロに丸投げするのもオススメです
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